建設業の働き方改革~2024年問題

労働時間の上限規制などが設けられた「働き方改革関連法」が施行され、大企業は2019年4月から、中小企業には2020年4月から適用されています。建設業では、他業界よりも働き方の環境改善に時間がかかることから猶予期間が設けられており、2024年4月からの適用となります。まだ時間があるとの声もありますが、その間には電子帳簿保存法やインボイスへの対応も迫られており、労務管理への対策を早めに行いたいという企業から大塚商会への相談も増えてきています。
働き方改革を実現させるためには、「労働時間の適正な把握」「残業時間の上限規制」「年次有給休暇の取得状況管理」などが重要になります。建設業界を取り巻く環境を踏まえ、迫る「働き方改革関連法」適用への対応について解説していきます。

建設業界の現状

2021年10月に国土交通省から発表された2021年度の建設投資見通しは、前年度比2.9%増の62兆6,500億円で、このうち、政府投資が24兆5,300億円(前年度比2.4%増)、民間投資は38兆1,200億円(前年度比 3.2%増)でした。また、建築・土木別に見ますと建築投資が38兆3,500億円(前年度比2.2%増)、土木投資が24兆3,000億円(前年度比4.0%増)となっています。コロナ禍でありながら2021年度の建設投資は増加となりました。

出典:令和3年度(2021 年度) 建設投資見通し(PDF・国土交通省Webサイト p.9の資料を基に作成)

2022年度予算についても、政府は国土強靱(きょうじん)化に3%増としており、依然、公共事業費は高水準維持となる見込みです。国土強靭化基本計画やインフラ老朽化対策のほか、2025EXPOといったイベントやリニア新幹線敷設、カーボンニュートラルに向けた建築物など、建設投資は今後も微増が続くと予想されています。

建設業界が抱える課題

迫る法令準拠への対応

2022年以降も引き続き、建設ニーズは増加傾向の見込みではありますが、対応に迫られる課題もあります。2024年4月に建設業界に働き方改革関連法が適用されますが、その前に2022年1月に改正電子帳簿保存法(電帳法)の施行、2023年10月にインボイス制度開始、2024年1月に電子保存本格義務化など、各法律に準拠していく必要があります。新しく始まるさまざまな法律に対応しながら、働き方改革にも着手していかなければなりません。そのためには早め早めに準備していくことが重要です。

若年入職者の確保・育成が喫緊の課題

日本は少子高齢化により、労働人口が減りあらゆる業界で人材不足が叫ばれています。特に建設業界ではここ近年、人材不足が慢性化しており、「仕事はあるが人がいない」という状況が続いています。2019年の平均ですが、建設業界では60歳以上の職人が84万人(26.4%)と全体の4分の1を占めており、今後、高齢により大半が退職する見込みです。
建設業界を担っていく29歳以下の若年層は37.5万人(11.8%)であり、若年入職者の確保・育成が喫緊の課題となっています。

出典:建設業における最近の話題 及び 建設キャリアアップシステムについて(PDF・p.5 国土交通省Webサイト)より引用

建設業働き方改革加速化プログラム

働き方改革関連法が建設業にも適用

建設業界では、年間300時間以上の長時間労働となっており、一般的となっている週休2日制も十分に確保されていません。建設業界の深刻な人手不足を解消するためには、働き方改革ならびに生産性向上が必要不可欠です。既に2019年4月から時間外労働の上限規制が大手企業から開始されていますが、建設業でも2024年4月から罰則付きの時間外労働の上限規制が適用され、週休2日制が強く推奨されます。国土交通省では、建設業界における働き方改革をさらに加速させるため、「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定。「長時間労働の是正」「給与・社会保険」「生産性向上」の三つの分野における新たな施策がパッケージとしてまとめられています。

ポイント

建設業働き方改革加速化プログラム 概要

長時間労働の是正

  • 週休2日制の導入を後押しする
  • 各発注者の特性を踏まえた適正な工期設定を推進する

給与・社会保険

  • 技能や経験にふさわしい処遇(給与)を実現する
  • 社会保険への加入を建設業を営む上でのミニマム・スタンダードにする

生産性向上

  • 生産性の向上に取り組む建設企業を後押しする
  • 仕事を効率化する
  • 限られた人材・資機材の効率的な活用を促進する
  • 重層下請構造改善のため、下請次数削減方策を検討する

参考:建設業働き方改革加速化プログラム(PDF・国土交通省Webサイト)

また、国土交通省および厚生労働省は、特に若者や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ、建設業の人材確保・育成に取り組むための2022年度予算案も取りまとめられています。

令和4年度国土交通省予算決定概要(国土交通省Webサイト:令和4年度予算決定概要)

働き方改革関連法の規制や罰則

「働き方改革関連法」において、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間と定められました。臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができなくなります。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計について、2カ月平均、3カ月平均、4カ月平均、5カ月平均、6カ月平均が全て1カ月当たり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6カ月が限度

を遵守しなければなりません。これに違反した場合には、罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

また、1カ月について60時間を超えて時間外労働をさせた場合、その超えた時間の労働について、法定割増賃金率を現行の25%以上の率から50%以上の率に引き上げられることになりました。
労働時間の適切な管理が必要になることに加え、時間外労働については賃金負担も増えることにもなりますので注意が必要です。さらに「労働時間・残業時間の適正な把握」と合わせて、「年次有給休暇の取得状況管理」も必要になります。

出典:「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」より加工して作成(PDF・p.5:厚生労働省Webサイト )

働き方改革を実現させるために行うこと

残業の上限規制と併せて、労務管理においては下記についての対策が必要となります。

  • 労働時間の適正な把握
  • 月60時間を超える残業代の50%アップ
  • 5日間の年次有給休暇取得

正確な就労状況を把握して適切な給与支給ができれば、人材不足となっている一因の解決につながることが期待できます。自社での勤怠管理を徹底し、残業時間を把握したうえで、ITを活用して業務効率化を図る取り組みが重要になります。
それを支援するソリューションをご紹介します。

給与・勤怠業務を効率化するソリューション

SMILE 人事給与

人事給与業務と勤怠業務が連携でき分断しているデータの二重入力が不要となり、各段に業務効率を上げることができます。また、承認機能を取り入れることで、押印作業も減らすことができ、ペーパーレス化や電子化も実現し、働き方改革を促進することができます。

Universal 勤次郎

「Universal 勤次郎」は、創業40年以上の歴史をもち、25年以上にわたり労務管理システムを提供してきた勤次郎が、満を持して開発した勤怠管理と健康経営のトータルソリューションです。働く人の状態を「見える化」し、働き方改革の実現と幸せな働き方の追求をサポートします。

勤革時

対応機能が豊富で、さまざまな業種・業態への汎用(はんよう)性が非常に高いです。初期費用0円、月額300円/人(従量課金)の低価格も魅力の一つ。導入支援は電話サポートで、お客様側で作業担当者のアサインが可能になるため、機能を妥協せず低コストで導入したい企業におすすめです。

TimePro-NX就業

人事情報登録・検索機能を標準装備し、入室システムにも対応した統合パッケージ。労務に精通したSEが設定構築しますので、複雑な管理を要する企業にも導入いただけます。入退館ログと出勤退勤打刻の比較を行うことで、早出・残業の乖離(かいり)発生者も確認できます。Webブラウザーを利用して、テレワークにも対応。

導入事例紹介~働きやすい、人が辞めない環境づくりの実践

働きやすい、人が辞めない環境づくりを率先して実行している企業の事例をご紹介します。
首都圏を中心にマンションやビルの改修工事を手掛ける三和建装株式会社。改修工事は新築工事とは異なり、住人やテナントがいる環境のまま工事を行っています。サービスの品質を保つには、その担い手である社員の満足度向上が欠かせません。「社員が働きやすい環境づくり」を目指す同社は、不正確だった勤怠記録を抜本的に見直し、働き方改革を推進しました。

静脈式生体認証タイムレコーダーによる勤怠管理、給与計算・支給明細配信までを一気通貫させ、勤怠記録の精度向上と迅速な給与計算を実現(三和建装株式会社)

上記の紹介事例のほか、条件を絞りこんで事例記事を探すことができます。

カンタン検索(建設業)

まとめ

建設業界でも業務効率化が必須であり、ITの活用がますます重要となります。大塚商会では、建設業向けに、各現場に生産性を上げるシステムをはじめ、本部管理部門の効率化を支援するソリューションなど多彩にご用意しています。DXを進める企業それぞれが3K(きつい・汚い・危険)から、新しい3K(給料・休日・希望)を実現するためこれまでの多くの経験と実績でサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。

建設業 業務&ロケーション別ソリューション

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バックオフィスの業務効率化を支援するDX統合パッケージ「SMILE V」シリーズについて、勤怠管理、給与計算、給与明細配信などを一気通貫に実現する機能を中心にご紹介します。

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