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第1回 予実管理とは? 基礎から理解する重要性とメリット

「予実管理」とはそもそも何か、なぜ企業にとって欠かせないのかを基礎から解説します。

はじめに

企業の経営環境が刻一刻と変化し、市場の競争が激しさを増す中で、「いかに速やかに経営資源を最適化し、戦略的な意思決定を下せるか」が大きな課題になっています。そんな経営上の意思決定を支える手法として、“予実管理”はいまや不可欠な存在です。特に案件ベースでプロジェクトを進めるビジネス(プロジェクト型ビジネス)においては、予算と実績の数値を基にした“差異分析”や“管理会計”の視点が、プロジェクトの成功確率を大きく左右します。

本記事では、連載の第1回として「予実管理」とはそもそも何か、なぜ企業にとって欠かせないのかを基礎から解説します。あわせてプロジェクト型ビジネスの視点を取り入れながら、予実管理がもたらすメリットまでをご紹介します。次回以降で具体的な方法論や実務上のポイントをより深く掘り下げていきますので、まずは全体像をつかむうえでの導入編としてぜひご覧ください。

1. 予実管理の定義

1-1. 予実管理とは何か?

予実管理とは、「予算(Plan)と実績(Result)との差を分析・把握し、経営に活かす活動」を指します。売上・コスト・利益などの計画値と、実際に得られた成果や支出額とを定期的に比較し、その差異の原因を追究していくプロセスが重要なポイントです。ここでいう予算(Plan)には、単年度予算からプロジェクト別の予算、さらには部門ごとの予算設定など、多様な切り口があります。どの切り口を採用するにせよ、基本は「計画」と「結果」とを見比べて問題点を洗い出し、組織全体のパフォーマンスを最適化することです。

1-2. プロジェクト型ビジネスでの予実管理の重要性

システム開発、コンサルティング、クリエイティブ制作などの“プロジェクト型ビジネス”では、案件ごとに予算を立て、進捗(しんちょく)や成果を管理する必要性が一層高まります。なぜなら、プロジェクト単位で工数やコストが変動しやすいため、全体感だけで把握していると想定外の赤字やリソース不足に陥るリスクが高いからです。

「受託(スポット)案件」であれば契約時に見積もった金額と実際にかかった工数とのズレが大きな影響を及ぼし、「保守(リテナー)契約」の場合でも想定外の追加要件やトラブル対応が増えることでコストが膨らむなど、現場で起きる事象に合わせた素早い対応が求められます。

こうした環境下では、予実管理を徹底して差異をいち早く見つけ、次の一手を打つことが、プロジェクト成功と収益確保の大きなカギとなります。

2. 予実管理が必要とされる三つの理由

2-1. 経営資源(ヒト・コスト・時間)の最適配置

企業が限られたリソース(ヒト・モノ・カネ・時間)で最大限の成果を出すには、どこにどの程度リソースを配分すべきかを常に見直し続ける必要があります。予実管理を通じて、「想定より工数がかかりすぎている部署やプロジェクトはどこか」「コストが一部に集中しすぎていないか」などを的確に把握できれば、早期の対処・再配置が可能です。結果として、経営資源のムダを最小限に抑えられるだけでなく、有望なプロジェクトへ優先的に投下するといった戦略的判断もスムーズになります。

2-2. リスク管理と先手の打ち方

事業を進める過程で、売上が計画を下回ったり、コストが予想以上に増大したりといったリスクは避けられません。こうしたリスクを最小化し、影響を抑えるには「早期発見」と「先手の対策」が肝心です。

予実管理が組織内で定着していると、予実差異のデータが早期に現場へ共有され、問題の芽を発見しやすくなります。例えば、「要員不足によりプロジェクトが遅延気味なので人員を増強する」「追加費用が発生しそうだからクライアントに早めの交渉を行う」など、具体的なリスク回避策が素早く打てるようになるのです。

2-3. 経営判断のスピードアップ

現代のビジネス環境では、競合他社が新サービスやキャンペーンを打ち出すまでのスピードも速く、「いかに意思決定を迅速に行えるか」が勝敗を分ける場面が増えています。
予実管理では、最新の実績データを集約し、予算と比べてどの項目に差異が生じているのかが可視化されます。経営者や管理者はこれらの数値を基に、事業投資・リソース配分・価格戦略などを適切かつスピーディーに判断できます。数字が裏付けとなるため、説明責任の面でも社内外からの納得を得やすい利点があります。

3. プロジェクト型ビジネスにおける特徴

3-1. 案件ごとに予算を設定し、実績をすり合わせる管理の重要性

プロジェクト型ビジネスでは、案件ごとに収益構造や必要なリソースが大きく異なるため、「プロジェクトAは売上の割に工数が多く赤字かもしれない」「プロジェクトBは小規模だが利益率が高い」といった管理が必須です。
特に受託(スポット)案件の場合、契約前に見積もった金額や期間を超過すると利益を圧迫しますし、保守(リテナー)契約でも追加開発・サービス要望が増えればコストが膨らみます。案件別予実管理によってこれらの情報を定期的にモニタリングし、異常値や傾向を早期発見することが、収益体質強化の決め手となるのです。

3-2. プロジェクトごとの利益把握や差異分析が難しい背景

一方で、プロジェクト単位の予実管理を実践するには、従業員の工数把握やプロジェクト管理ツールの導入など、相応の仕組みづくりが求められます。とりわけ、複数のプロジェクトにまたがる人員がいる場合は、「どこにどのくらいの時間・コストをかけたのか」の正確な計測が難しいといった現場の声もよく聞かれます。
また、プロジェクト全体としては黒字でも、特定の工程や期間だけ見れば大幅な赤字だったといったケースが後から分かることもあります。こうした問題を回避し、正しく差異を分析するためには、管理会計の仕組みや業務フローを整備する必要があります。

3-3. プロジェクトの種類:受託(スポット)と保守(リテナー)

受託(スポット)案件

一定の期間・要件に基づいて一度きりの契約を結び、開発やサービスを提供する形態。見積り精度が低いと、開発期間の延長などによって利益を大きく損なうリスクがある。

保守(リテナー)契約

月額や年額で継続的にサービスを提供し続ける形態。安定収益が期待できる一方、途中で機能追加や仕様変更が発生すると、契約時の想定以上に工数がかかる可能性もある。

いずれの形態でも、プロジェクトごとの予算と実績の把握、差異が生じた際の原因究明と改善策の立案が必須となります。

4. 予実管理が与えるメリット

4-1. 経営上の透明性が高まる

予実管理によって、数字に基づく客観的な状況把握が行われるようになると、経営層と現場との間、あるいは部門間での情報共有が進みやすくなります。

例えば、プロジェクトAの採算が悪化している理由や、組織全体として営業利益率が下がっている原因など、具体的なデータを基に議論できるため、責任の所在があいまいにならず、透明性が高いマネジメントが可能になります。

4-2. 部門間・チーム間の情報共有促進

数値を共通言語として活用することで、営業・開発・経理など、立場の異なる部門同士でもスムーズに連携が図れます。プロジェクトを成功させるには、営業が取得した案件情報を開発が把握し、開発が見積もった工数を経理が正確にコストとして計上し……といった形で、部門やチームをまたぐ情報共有が欠かせません。

予実管理がしっかり機能していれば、部門間での定期的なコミュニケーションが生まれやすく、問題発見と解決策の立案がスピーディーになります。

4-3. プロジェクト失敗の早期発見・対応

プロジェクトの進捗が遅延している、コストが想定より上振れしているといったサインを「予実の差」で迅速に拾い上げられれば、大きな手戻りや赤字拡大を防ぐことが可能です。特に受託(スポット)案件は納期や契約内容が厳格な場合が多く、保守(リテナー)契約も追加要望が絶えないケースが多いため、早い段階で“炎上の兆し”に気付けるかどうかが、プロジェクトの命運を分けるといっても過言ではありません。

まとめ

本記事では、予実管理の定義と必要性、そしてプロジェクト型ビジネスでの特徴やメリットについて整理しました。経営資源の最適配置、リスク管理の早期化、スピード感のある経営判断など、予実管理の持つ意義は多岐にわたります。さらに案件ごとの予実差異を明確に把握し、原因を究明して改善策を打ち出せるようになると、プロジェクト単位だけでなく企業全体の収益力も大きく引き上げることが可能です。

次回予告

次回(第2回)は、「予算の立て方とポイントを解説! 正しい目標設定が予実管理のカギ」をテーマに、より具体的な予算策定プロセスや差異分析の方法論について掘り下げます。受託開発やコンサルティング案件を例に、見積り工数・コスト・利益率の考え方や、「ざっくり予算」からの脱却手法、管理会計のフレームワークを用いた差異分析の応用などにも言及します。

予実管理を成功させるためには、まず「どのように予算を立てるか」「どのように実績をモニタリングするか」が大事な出発点です。次回の記事をお楽しみに。企業・組織における予実管理の一層の深化にきっとお役立ていただけるはずです。

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