第41回 製造業相談コーナーでの出来事 その2

桜が満開を迎えようとしています。早いもので大変寒かった記憶の2月から始まった弊社の最大イベントである実践ソリューションフェアも今月中旬の九州博多においての小生のセミナー開催を残すのみとなりました。先月に引き続きフェアで承った相談事をテーマに今月も「その2」として進めて行きたいと思います。

「設計成果物の整理整頓(2S)って具体的にどの様に進めて行くのですか?凄く大変そうに感じるのですが…」

確かに簡単に出来ます!とは言いかねます。が、しかし、ここを緩くしてしまうと流用化設計への第一歩を踏み誤る事になります。従ってどのように2Sを進めるのかというルール作りは大変重要です。
2Sの原則を思い出してください。整理整頓する事は仕舞い込む事では無く、欲しい時に何時でも在処、場所が判明する事です。「何処に行ったか分からない整理」は2Sにはなりません。従って、事の難しさとしては「どのように見つけるか」に在ると想像して頂けると思います。

これらの事は「第33回 設計成果物の2Sを考える ~その1~」「第34回 設計成果物の2Sを考える ~その2~」「第35回 設計成果物の2Sを考える ~その3~」で詳しく述べていますので是非の再読をお願いします。

第33回 設計成果物の2Sを考える ~その1~

第34回 設計成果物の2Sを考える ~その2~

第35回 設計成果物の2Sを考える ~その3~

今回の気づきはその考え方やルール作りもさることながら、実際の2S作業には物理的な作業時間やそれに伴う作業負荷感が重くのしかかっていると感じた事です。「凄く大変そう」という言葉が表す意味と、現実的な問題。そして、ここの処に今回の最も大切なテーマが存在します。「凄く大変になってしまう理由とは?」です。
2Sの作業中は表に見える結果はすぐには現れません。当然です、本来すべき事をしてこなかった作業をやっと遅ればせながら帳尻を合わせながらやっている訳ですから。設計者達が「どうするのこうするの」とディスカッションしながら残業を重ねて作業をしている。こんな地味な作業光景が続くのでしょう。
さて、そのアウトプットがよく見えない2Sの作業光景を経営者が見て何と言うか…?なのです。

「流用化・標準化設計への第一歩だし、使い捨て図面の撲滅への地道な取組だから大変だろうが頑張って欲しい!この地道な作業は必ず報われる!」と言うのか?

「何をわけの判らない事やっているの?設計業務に支障も出ているようだし…早くそんな事やめろ!」と言うのか?

少し極端な表現をしましたが、でも、もし皆さんが一所懸命に22Sを実行している最中に「後者」の経営者の言葉を耳にしたら、あっという間に皆さんのモチベーションは萎んでしまいますね。「やっていられないよ!」となる訳です。
こうなると間違いなく流用化・標準化設計改革は頓挫します。そうです経営者(層)のたった一言のためにです。中小・中堅製造業の設計部門に22Sに専念できる潤沢な余剰時間など有り得ないし、であるからこそ設計効率を高める為の流用化・標準化設計への改革に取り組んでいる訳です。
従って、この設計部門改革は設計部門責任者の範疇を越え明らかに経営者マターとして扱い、考えるべきなのです。経営者(層)に改革のニーズと経営判断としての改革断行の意志が存在しない限り、この改革は上手く行かないと断言できます。ましてや重要とは言え改革への準備段階である22Sの作業実行にさえ上手くモチベーションプランニング出来ない経営者(層)ではなおさらです。「あっちも、そっちも両方上手くやれ」などと言った瞬間に2Sは「凄く大変な作業」になってしまうのです。

このお客様への回答は「経営者(層)のニーズを確認してください。経営の必然性として取り組もうとしているのか否かです。これが確認できるのであれば一刻も早く取り組んでください」でした。
お客様からは「社長は技術屋では無いのですが、今の設計スタイル、環境に疑問を持っています。その意味ではニーズが存在すると思います」とおっしゃいました。
私は続けて「では早々に社長様と面談させてください、きっと社長様は経営者の感覚として設計部門に非効率さを感じていらっしゃるのでしょう」とお願いして、アポを取らせていただきました。面談が楽しみです。

次回は5月8日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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