第24回 構成部品数と標準化設計との関係を考える ~その2~

前回に引き続き、最終製品の構成部品数が多数であり、「2:設備機器、自動機器」の場合を考えてみましょう。

高いレベルのノウハウを所持し、製造業ニッポンを支える会社として、中小中堅製造業の中で数の多いカテゴリと考えています。

生産を支える設備を設計製造する業態、いわゆる、組立製造業と言われ、設計部門の上流側、生産部門の下流側、さらに自社製品ブランドによる営業部門と、それら全体を管理する間接部門が存在します。
総社員数は多数でなくとも、仕事の期待役割の種類と守備範囲という視点から見ると、広くかつ複雑系です。

その意味で一人あたりの付加価値維持が大切な経営マターであります。しかし、近年厳しい経済環境や競争に晒(さら)され、その付加価値の確保が難しくなっている会社が多く見受けられる現状です。
従って、私がお預かりする製造業も自ずとこの業態が多くなっています。

付加価値維持のために流用化・標準化設計を核に設計部門の改革を行い、それを起点に全社改革につなげるという経営判断を実行する会社が増えているのです。

その意味で、今回のカテゴリが最も標準化設計の効果という恩恵を受けやすく、その代償(?)として改革への負荷が重いケースと言えます。

まずは設計資産の2S(整理・整頓)を実行して脈々と蓄積してきた設計成果物を設計部門内で共有できる様にするところから始まり(脱、蛸壺設計)、BOMの構築を進め世界標準の設計成果物と標準化設計環境を獲得するプロセスです。
そして、その設計情報を整流化して下流側に流す仕組みを得れば万全です。

本コラムの読者は既にお気づきでしょうが、上記の内容は、私が述べてきた(本コラムの4話、5話を中心に)流用化・標準化設計実現のプロセスを愚直に実行し、実現させることなのです。
是非、もう一度読み返していただきたいと思います。

部品構成数が多数で、設計部門の特異技術の展開により、本来は大きな付加価値を得られるはずの製造業が苦しんでいる現状を多く見る時、経営層の「不作為」のツケの高さを思い知るのです。

お預かりしている会社のコンサルティング業務を通じて感じていることは、「昔は儲かっていました」という共通項です。
まさに経営の難しさです。付加価値が存在し、経営的にも安定して居る中で、「何となくオカシイな」と気づきがあっても仕事に追いまくられ、時は流れ、あっという間にその経営環境は激変している。
もう付加価値などという悠長な表現をしていられる状態では無く、粗利をギリギリ確保するのが精一杯という結末です。

私の座右の銘である「平原を断崖の如く歩く経営」とはこのような結末を予見し、付加価値が存在する間に次の経営的判断を下し、その判断をキッチリ実行することなのです。
流用化・標準化設計という改革の必要性と、その効果が高いことがわかっていながらも、その改革過程の負荷に恐れをなして踏み出すことができない・・・。
その気持ちは理解できるとしても、経営判断としては「不作為」と言わざるを得ません。

経営者が自社の存続というテーマを真剣に見据えて考えれば、自ずと結論は導かれ、その結論を実現させるための改革への決断は下せるはずです。

このカテゴリの中小・中堅製造業の改革を経営層、幹部層と共に「ビジネスパートナー」としてスクラムを組んで実行、進捗させることが、私に与えられた直近の期待役割と認識しています。

次回は12月6日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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