第169回 実践ソリューションフェア2026と一品熱魂セミナーへのお誘い
大塚商会最大の催事である実践ソリューションフェア2026において「一品熱魂」セミナーを開催します。「経営課題としてのBOM~製造DXを成功に導くエンジニアリングチェーンマネジメント~」と題し、中小中堅製造業の生き残り策を経営層マターとして訴求します。
実践ソリューションフェア2026と一品熱魂セミナーへのお誘い
謹賀新年
皆様良い新年を迎えられたことと思います。私は今年もスマドリ派継続を初日(はつひ)に誓いを立てて頑張ります。
しかし、ホッピーと共に愛飲していたA社のノンアルビールが市場から消えてしまいました。
例のランサムウェア感染で多大な影響を受けたA社の生産障害の結果だそうです。世の中、何にでも「優先順位」というのがありまして、生産復旧の順番、つまり優先はビールから……ということを気付かされました。スマドリ派=マイナーの悲哀と言われてしまえばそれまでですが、一刻も早い生産障害からの完全復旧を望むところです。
そして何より製造業ニッポンの再起がかなう年であることを願うと共に、微力ではありますが訴求を継続したいと思います。重ねて皆様の愛読を願うものです。
セミナーの題目は「経営課題としてのBOM~製造DXを成功に導くエンジニアリングチェーンマネジメント~」です
題目どおり、ECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)がセミナーの主たるテーマであることは間違いありません。ただ、このコラムを愛読されている方には「なんで今更DX・ECM?」と感じられるかもしれませんね。
しかし、DXという言葉が出現してから数年が経過しても、中小中堅製造業のDX進捗(しんちょく)度はいまだに芳しくありません。
本コラムで何度も繰り返し述べているように、製造業ニッポン転落の主因は「非効率」です。この「非効率」を解消する仕組みとしてDXが存在するのですが、進捗が芳しくないということは、いまだ「非効率」という状態が続いているということです。
そして「非効率」の延長線上に待ち受けているのが「事業の中断」です。命で言えば「死」を意味するわけですが、いずれにしてもそれを回避するために「生き残り策」という経営視点と課題解決が必須なのです。今からでも遅くはありません。しかし、遅れてスタートするのですから、「DXを仕組みとして導入して、その仕組みの魂となる情報の形とあるべきルールをどのようにすべきなのか?」という経営目標を策定して、経営層が経営層として持てる力を全て注ぎ込む必要があります。そして、これ以上の遅延は許されないと考えています。
振り返りとしてDXというキーワードが出現した数年前に中小中堅製造業としてのDXの考え方を提案しています(第115回:2021年6月、第116回:7月)。あらためて読んでください。
コロナ禍から得た教訓も併せて振り返ってみていただければと思います。
第115回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その47~中小中堅製造業のDXはこう考えよう!(1/2)
第116回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その48~中小中堅製造業のDXはこう考えよう!(2/2)
内容を理解してもらった前提でキーワードを再確認します。それは……
中小中堅製造業DXとは、ECM+SCM(サプライチェーンマネジメント)の実現にあるということです。第115回、第116回に載せました「ECM+SCMという新しい視点を持つ」という図がその理解を助けてくれると考えます。
まずは、今回のセミナーのテーマであるECMを語る前にSCMのあり方の理解とマネジメントとしての実行能力を備える必要があります。今更SCMを軽視する経営層はいないと考えますが、中小中堅製造業のSCMのあり方をしっかり考えて、自社のSCMとは……という定義を行えていない事例をたくさん見てきました。
「わが社的SCMとは? それを支える仕組みとは?」という視点が大切であるということです。
間違っても「SCM=JIT(ジャストインタイム)の実現」などと定義してしまわないことです。
例えば、「いつも世話になっている外注のオヤジさんとのコミュニケーションや承継問題の有無」等々、肌感覚で身の丈に合った「わが社のSCMとは」を定義して、全社に徹底すべきです。
そして、「そのSCMの定義を支える仕組みとしてのDXとは」という命題に取り組むべき順番といえるでしょう。
中小中堅製造業のECMとは?
わが社のSCMのあり方をしっかり定義していく過程で、必ずそのSCMを可能とする前提条件が見えてくるはずです。中小中堅製造業の場合、SCMの上流側部門は例外なく設計部門でしょう。従って設計部門からアウトプットされる情報、つまりモノつくりの源泉情報がSCMへのインプット情報となります。
このモノつくり情報がくせ者で、買い物リストから始まってBOMまで、ECMの有無や完成度によってさまざまな形態、情報内容となります。従って、SCM成否はこのインプット情報に委ねられることは理解してもらえるでしょう。つまり、そのインプット情報を生み出すECMが鍵となるわけです。
在庫、価格(原価)、納期それらの総括であるQCD改善が生産効率向上の評価結果として利益に直結するわけですが、このQCD改善に寄与できる度合いをECM・SCMで比較してみましょう。
SCM:設計部門からアウトプットされる「設計成果物の範囲内」で交渉力やモノつくりとしての工程改善と知恵と工夫とが主たる武器(マネジメント・ツール)となります。しかし、どこまで追求しても「設計成果物の範囲内」という制限が付きまといます。外注やベンダーとの力関係も逆転しつつある中、SCM側のQCD改善への寄与は限界に近づいています。
主因はSCM側が設計成果物に直接関与することができないことに尽きるからです。
ECM:結論から述べればSCM側の生殺与奪の権を握っていると言っても過言ではないでしょう。「製品のQCDの8割は構想設計段階で決まる」と言われ続けていますが、その割には具体的な改善を実行する事例にお目にかかれません。
設計部門からアウトプットされる設計成果物の三悪とは……
- 似て非なる部品、アセンブリーの多用
- 長納期部品の多用
- 特殊部品の多用
これら三悪多用の設計成果物に対してSCM側はあらがうことができません。なぜなら「SCM側が受け取る設計成果物は、十分に正たる過程を経ている」という原則論にのっとっているからです。中小中堅製造業の設計部門の実情を考えると、蛸壺設計からアウトプットされる設計成果物が「十分に正たる過程を経ている」とは思えず、結果、SCMは絵に描いた餅で終わってしまいます。
抽象的な比較でしたがECMとSCMおのおのの立ち位置は理解してもらえたと思います。
結果、「どうやら肝はECMのあり方としての目的が重要」との気づきがあったと思います。
ECMの目的は「流用化・標準化設計」です
先述した三悪多用を解消することがECMの目的と言ってよいでしょう。
その具体的な改革が「流用化・標準化設計でありBOMという情報形態によってそれが実現していく」ということになります。124回のコラムにも掘り下げて記してありますので再述は避けますが、その当時から数年を経てしまっているわけで、設計部門長や幹部レベルの共感のみならず経営層が生き残り策として「わが社的ECMとは」を経営戦略として実行すべきなのです。
第124回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その54~ ECM改革を推進するコツとは~ECMへのチャレンジとその考え方~
今回のセミナー題目に「経営課題として」と銘打ったのは、「経営層自体に、この気づきがなければ生き残れません」という私なりの危機感を畳み込んだつもりです。もはや背水の陣を敷くしか選択肢はなくなっているという危機感があります。セミナーではこのECMの目的について掘り下げていくつもりです。さらに紙面で文字にするには憚(はばか)りがある現場の景色も同時に話題としたいと考えています。
ぜひのご来臨をお待ちします。
以上
次回は2月6日(金)の更新予定です。
セミナーのご案内
実践ソリューションフェア2026 「一品熱魂」セミナー
「経営課題としてのBOM~製造DXを成功に導くエンジニアリングチェーンマネジメント~」
【東京】2月5日(木)10:00~10:45(45分)【B21】
詳細・お申し込み
【大阪】2月19日(木)10:00~10:45(45分)【B41】
詳細・お申し込み
書籍ご案内
当コラムをまとめた書籍『中小企業だからこそできる BOMで会社の利益体質を改善しよう!』の第二弾として『BOMで実践!設計部門改革バイブル 中小・中堅製造業の生き残る道』を日刊工業新聞社から出版しています。
BOM構築によって中小企業が強い企業に生まれ変わる具体策とコツをご提案しています。
Nikkan book Store(日刊工業新聞社)