会計システムとは？導入メリットや選び方、主な種類を解説

企業の持続的な成長・発展を維持するためには、財務会計と管理会計の効率化を図る仕組みが欠かせません。そこで重要な役割を担うのが、企業の会計業務を一元的に管理する会計システムです。本記事では会計システムの概要や主な種類、導入メリットなどについて解説します。

会計システムとは

会計システムとは、デジタル上のプラットフォームで会計業務を一元的に管理するシステムを指します。会計業務とは、企業経営における資産の出入りを管理する業務の総称です。例えば、資金管理や財務分析、貸借対照表や損益計算書といった決算書の作成、現金の出納管理や帳簿の作成、売掛金や買掛金の管理などが挙げられます。

こうした一連の会計業務をデジタル上のプラットフォームでシステム化し、経営層の意思決定や会計部門の業務効率化を支援することが会計システムの役割です。

経理システムとの違い

経理システムは帳簿管理や仕訳処理、予算管理、経費処理など、事業活動における日常的な取引の記録や記帳などをデジタル化するシステムです。企業によって異なりますが、外部報告会計や資金計画の立案・策定といったお金の運用管理そのものは財務・会計部門が担当し、経理部門は勘定科目の振り分けや決算書の作成などを行うのが一般的です。

経理システムは、会計業務全般における取引の記録・記帳や決算書の作成といった領域を担います。会計システムは、それらに加えて資産全体の管理や法的要件に基づく企業会計原則などにも対応している点で違いがあります。

会計システムを導入するメリット

会計システムを導入するメリットは、会計業務の効率化と人為的ミスの軽減です。会計システムを導入することで、外部に公表する財務諸表の作成や予算と実績を管理する予実管理、売上や経費の記帳といった会計業務全般を効率化・省人化できます。それによって会計部門や経理部門の人件費を削減できると同時に手作業によるミスやエラーを最小限に抑えられる点がメリットの一つです。

また、複数拠点の会計情報を一つのプラットフォームで共有できるため、財務分析の合理化や意思決定の迅速化に貢献するという利点もあります。

会計システムの種類と選び方

会計システムを選定する際の基準としては、「機能性」「サービスの提供形態」「システムのカスタマイズ性」の三つが挙げられます。

機能・役割で選ぶ

会計業務は大別すると「財務会計」と「管理会計」の2種類に分けられます。財務会計は利害関係者に財務状況を報告する社外向けの会計業務です。管理会計は独自の業績評価指標に基づいて作成される社内向けの会計業務を指します。会計システムは財務会計と管理会計を一元管理すると共に、借入金の管理や請求書の支払いといった「債務・支払管理」にも対応しているのが一般的です。

ただし、一部の業務領域にしか対応できないサービスもあるため、それぞれの機能・役割を理解したうえで目的に適したシステムを選定する必要があります。

財務会計システム

財務会計システムは、企業の会計情報や業績状況の一元的な管理と、ステークホルダーに明示する書類の作成業務に特化したシステムです。企業会計原則にのっとった決算書を作成する機能、現金出納帳や総勘定元帳などを自動的に作成する機能、あるいは保有する資産の償却期間や償却方法を管理する機能などが搭載されています。

管理会計システム

管理会計システムは、会計情報の分析や会計帳票の作成、予実管理やキャッシュフローのレポーティングなど、企業の財務状況を可視化するシステムです。予算と実績の対比分析や将来的な財務状況の予測、事業単位別の業績評価、コスト構造の分析など、自社の経営状況を俯瞰（ふかん）的な視点から評価・分析する機能に特化しています。

債務・支払管理システム

債務・支払管理システムとは、銀行からの借入や発行する社債などの債務状況を管理すると共に、請求書の支払処理や支払消込といった支払に関する業務の自動化・省力化に特化したシステムです。支払い予定表の作成や手形の発行、取引の一元管理、金融機関との連携による振込業務の自動化などの機能を備えています。

提供形態で選ぶ

ITシステムは大きく分けると、自社の物理的なITインフラを基盤とする「オンプレミス型」と、クラウドサービス事業者が提供する仮想化されたサーバーで運用する「クラウド型」の2種類あります。また、人事管理・購買管理・在庫管理・生産管理・販売管理といった基幹業務システムと連携するタイプもあります。

会計システムを導入する際は、それぞれのメリットとデメリットを把握し、自社の要件に適したソリューションを選定することが大切です。

オンプレミス型

オンプレミス型はいわゆる自社運用と呼ばれる形態で、物理的なハードウェアを含め、システムを自社内で運用します。クラウドサービスと異なり、システム自体が自社内にあるため、アクセス速度が速く、また自社運用に合わせてカスタマイズが可能な点が大きなメリットです。外部ネットワークからアクセスできるようなネットワーク環境を構築することで、クラウドサービスと同様にどこからでもアクセスできる業務環境を構築することが可能です。

クラウド型

クラウド型は物理的なハードウェアを導入する必要がなく、時間や場所といった制約を受けることなくアクセスできる点がメリットです。しかし、パブリック環境でデータやファイルを共有するというサービスも多くあるため、セキュリティの脆弱（ぜいじゃく）性を懸念する声が少なくありません。また、基本的に提供される機能の範囲でしかカスタマイズができないことから、自社の要件を満たせない可能性があります。

基幹業務システム連携型

財務・会計・人事・購買・生産・在庫・販売などの基幹業務を統合管理するシステム（ERP）には、自社に必要なシステムのみを組み合わせる「コンポーネント型」と呼ばれる形態が存在します。コンポーネント型は、必要な基幹系システムだけを組み合わせて導入できる点がメリットの一つです。ただし、自社の経営体制や市場の動向に合わせた再構築が必要になるケースが多いため、カスタマイズ性や柔軟性に優れるシステムの選定が重要なポイントとなります。

カスタマイズ性・柔軟性で選ぶ

会計システムは、法改正への対応や経営状況の変化に応じて求められる要件が変動するケースが少なくありません。オンプレミス型はカスタマイズ性に優れますものの、機能の追加や拡張には相応のコストが必要であり、また、クラウド型はカスタマイズ性の低さからマルチクラウド化による運用コストや管理工数の増大を招く場合があります。

オンプレミス型とクラウド型は一長一短があるため、それぞれの特徴や自社のビジネスモデルなどを考慮しつつ、中長期的な視点でシステムのカスタマイズ性や柔軟性を確認することが重要です。

財務会計から管理会計、支払管理までサポート「SMILE」シリーズ

会計システムの導入を検討しているのであれば、大塚商会が提供する基幹業務システム「SMILE」シリーズの導入がおすすめです。「SMILE 販売」や「SMILE 会計」を連携することにより、財務会計から管理会計、債務・支払管理まで広く対応する会計システムとして活用できます。

販売システムと会計システムの連携により、販売システム側の各伝票データから会計の仕訳伝票を一括で作成できるため、二重入力の手間が省けて会計業務の省力化やミスの抑制につながる点が大きなメリットです。また、オンプレミス型とクラウド型（SMILE V Air）の両方に対応しており、カスタマイズ性も高いのでシステムの入れ替え時も安心です。さらには、デジタルインボイスの発行・受領も可能で、電子帳簿保存法にも対応しています。

企業経営において、財務会計と管理会計は非常に重要度の高い業務です。キャッシュフローの健全化と経営基盤の安定化を図るためにも、「SMILE」シリーズの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

会計システムは、財務会計・管理会計・債務・支払管理を統合的に管理するシステムです。会計システムの導入は、財務会計や管理会計の効率化と人為的なミスやエラーの削減に寄与します。会計システムを選定する際には「機能・役割」「提供形態」「カスタマイズ性・柔軟性」の3点を意識することが大切です。