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基幹業務システム
一元管理とは? メリットや業務効率化のポイントを解説!
企業が持続的に発展していくためには「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった経営資源を効率的に運用する管理体制が欠かせません。そこで鍵となるのが、組織内で分散しているリソースを統合的に管理する、「一元管理」という考え方です。経営資源が分散された状態ではリスク管理が複雑化し、市場や需要の変化に対応しきれない可能性が懸念されます。本記事では、経営資源を一元的に管理する重要性やメリットについて解説します。
一元管理とは?
一元管理とは、分散している要素を統一された管理体制のもとで統合する管理手法です。組織運営や情報管理におけるコンセプトの一つであり、各部門で個別に管理されているデータやファイルを集約する、あるいは複数のシステムを一つのプラットフォームで運用する、といった手法を指します。分散しているリソースや異なる要素をまとめて管理するだけでなく、それらの統合的な管理を通して、運用効率の最大化を図ることが一元管理の目的です。
一元管理する対象
ヒト
「ヒト」とは、組織で労働に従事する人的資源を指します。
国内では、総人口の減少と高齢化率の上昇が社会問題となっており、さまざまな産業で人材不足と就業者の高齢化が深刻化しています。労働力不足が進む中、従来と同等以上の労働生産性を確保するためには、優秀な人材の採用や体系化された人材育成制度の確立、公正かつ公平な人事評価制度の整備、福利厚生の充実、人材の特性を最大限に活かす人員配置といった施策が必要です。こうした戦略的な人材マネジメントを展開するためには、人的資源の人事情報やナレッジの一元的な管理が不可欠となります。
モノ
「モノ」は生産施設や土地、設備機器、産業機械、ITインフラ、システム、原材料、部材などの物的資源を意味します。
物的資源の管理体制は、事業の利益率に直結する極めて重要な要素です。例えば、在庫情報が分断されている場合、部門間のデータに矛盾や重複が発生し、過剰在庫や在庫不足を招く要因となりかねません。過剰在庫はキャッシュフローの悪化や商品の品質低下につながり、在庫不足は販売機会の損失による収益性の低下を招きます。こうしたリスクを最小限に抑えるためには、物的資源の一元管理によって、全社横断的な情報共有基盤を構築する必要があります。
カネ
「カネ」は現金や株式、債権や借入金などの資産と負債を指します。
そもそも企業とは、事業を通して製品やサービスを生産し、生み出した付加価値を市場へ提供することで利益を得る組織です。従って、企業の持続的な発展には利益の創出が不可欠であり、そのためには資産と負債のバランスや、収支の流れを一元的に管理しなくてはなりません。お金の流れを把握できなければ、財務状況を把握できず、資金不足や債務の不履行などにつながる可能性があります。また、財務報告の正確性が低下することで、株主や投資家からの信頼を失うリスクも懸念されます。
情報
「情報」は売上データや顧客情報、製品開発情報、技術情報、人事情報、人材のナレッジなど、事業活動で収集・蓄積された全てのデータ群を意味します。
現代は情報爆発時代と呼ばれており、デジタル技術の進展に伴い、ビッグデータの戦略的活用が求められています。そして、ビッグデータ分析における重要課題の一つが情報の一元管理です。情報を一元的に管理できれば、データ分析の効率が向上すると共に、部門を横断した業務連携やナレッジの共有が実現します。また、顧客情報や市場調査を起点とするプロダクトの設計により、顧客満足度の向上が期待できます。
一元管理のメリット
業務を効率化できる
経営資源の一元管理によって得られるメリットの一つは、業務の効率化です。例えば、販売管理や在庫管理、購買管理など、各部門の業務を個別の業務システムで管理してしまうと、部門を横断した情報検索に手間を要するため、部門間連携の鈍化と業務効率の低下を招きかねません。
ビジネスデータを一元管理できれば、情報の検索性が高まり、社内コミュニケーションの活性化や業務効率の向上が期待できます。
部署間で情報共有ができる
市場環境の変化が加速する中、組織全体の生産性を高めるためには、全社戦略に基づくコラボレーション基盤が必要です。システムやデータがサイロ化している場合、情報共有の遅滞によって社内コラボレーションの鈍化を招き、経営判断や意思決定の遅れにつながります。
全社横断的な情報共有基盤が構築できれば、意思伝達のプロセスが合理化され、正確な経営判断や意思決定の迅速化を支援する一助となります。
適切な人員配置ができる
人的資源の労働生産性を最大化するためには、従業員一人一人の能力や適性を見極めて適材適所に配置する必要があります。それには従業員のスキルや保有資格、業績貢献度などを明確化し、それぞれの長所と短所を客観的に分析するプロセスが必要です。
こうしたデータを一元管理できれば、人的資源の適切な配置が可能になると共に、人事評価やナレッジの共有などにも役立てられます。
一元管理で業務を効率化するポイント
どの経営資源を効率化するか考える
経営資源の一元管理に取り組むうえで重要な課題となるのが、優先順位の策定です。全ての経営資源を一朝一夕で一元的に管理するのは現実的ではないため、優先順位を定めたうえでリソースの一元化に取り組む必要があります。
一般的に、四つの経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)でもっとも重要なのは人的資源といわれますが、全ての企業が該当するわけではありません。自社の財務状況や参入市場の立ち位置などによって、優先順位は変動します。そのため、まずは自社の経営体制を俯瞰(ふかん)的に分析し、その知見に基づいて一元管理すべき領域を特定することが重要です。
あらかじめ周囲の理解を得る
経営資源の一元管理を推進する場合、既存の業務プロセスや管理体制に大きな変更が生じる可能性があります。人間には本能的に未知の体験を回避したがる、「現状維持バイアス」と呼ばれる心理作用が備わっているため、大規模な変革に拒絶反応を示す従業員も少なくありません。しかし、経営基盤の変革には全社的な協力体制が不可欠であり、経営層と従業員が同じ方向を目指しながら施策を推進する必要があります。従って、経営資源の一元管理を推進する目的を明確化し、周知徹底を図るプロセスが極めて重要です。
情報を可視化しやすいツールを選ぶ
経営資源の一元管理によって業務効率化を図るためには、ITシステムの戦略的な活用と連携が欠かせません。現代はデジタル化の進展と共に、事業領域で取り扱う情報量が年々増大していく傾向にあるため、情報をデータベースに集積するだけでは、必要な情報が埋もれてしまう可能性が懸念されます。やみくもに情報を統合してもデータスワンプに陥りかねないため、データの可視化や情報の検索性に優れるソリューションを選定すると共に、自社の組織体制や業務要件に最適化された連携基盤の構築が必要です。
情報が分散管理されている場合、情報共有や社内コミュニケーションが鈍化し、業務効率の低下に伴う労働生産性の減退を招く要因となりかねません。さらには意思決定のスピードと経営判断の正確性が失われ、市場の変化に取り残されるリスクが懸念されます。市場や需要の変化に柔軟に対応できる経営基盤を構築するためには、経営資源の一元管理が必須の取り組みといえます。
まとめ
一元管理とは、分散している要素を統一された管理体制のもとで統合する管理手法を指します。事業活動で一元管理の対象となるのは、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった経営資源です。経営資源を一元管理することで全社横断的な情報共有が可能となり、業務の効率化や人員配置の最適化につながります。
経営資源の一元管理を推進する際は、情報の可視化や検索性に優れるツールの選定が必須事項となるため、基幹業務システムとグループウェアをオールインワンで提供する「SMILE」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。