在庫管理とは？ その目的から効率化させる方法まで、基礎を分かりやすく紹介

在庫管理の目的

上記で解説したことを踏まえると、在庫管理の目的は以下のとおりです。

生産性が上がる

適切な在庫管理は、企業の生産性を向上させる助けとなります。在庫データが整備されていないと、在庫を探すのに無駄な手間や時間を要してしまいがちです。それが納期遅れなどにつながることもあるかもしれません。在庫管理を適正に行うことで、そうした非効率性を廃し、生産性を上げられます。

ロスをなくすことができる

在庫管理を適正に行うためには、いつ、どれくらいの量の在庫が必要になるのか、正確な需要予測が求められます。この需要予測によって、不要な在庫を抱えることで発生する無駄な保管コストや廃棄ロスを最小限にすることが可能です。廃棄ロスを減らすことは資源の無駄遣いをなくすことにもつながるので、近年注目されているSDGsにもかなっています。

キャッシュフローが良くなる

在庫管理を最適化することで、余剰管理による無駄なコストの発生や、欠品による機会損失の発生を防ぐことが可能です。これらの効果は、キャッシュフローの改善と直接的に関係しています。在庫量が最適化されれば、在庫処分セールなどで商品価値を無理に下げて販売する必要も薄れます。

現状を分析する

最初に着手すべきは、現状を正確に把握することです。自社の商品の在庫状況を詳細に把握し、どの商品がどれくらいの頻度で必要となるのか、どの商品が余剰になりがちであるのかなどを分析します。このような分析にはABC分析などの手法が有効です。ABC分析では、商品を売上高などの基準で分類し、どの商品が自社にとって重要であるかを分析します。例えば、Aクラスは全体の売上の大半を占める重要な商品、Bクラスはそれに次ぐ商品、Cクラスはそれ以外の商品といった仕方です。

自社の適正な在庫数を出す

次に自社にとって適正な在庫数を算出します。この適正在庫数とは、さまざまな状況を加味して、在庫切れを防ぐために必要な在庫数のことです。具体的には、売上の予測、季節変動、注文から入荷までのリードタイム、予期せぬ需要増や供給遅延に備えるための安全在庫（予備用の在庫）などを考慮して決定します。適正在庫数を把握することで、仕入れの量や頻度を最適化可能です。

在庫の流れを把握する

最後に在庫の流れを把握します。在庫の流れをデータ化し、透明性を持たせることで、必要なときに必要な商品が利用できるようになります。取り扱う在庫の種類や数が多い場合は、在庫管理のプロセスが複雑になりやすいため、在庫管理に役立つITツールを利用するのがおすすめです。これにより、在庫状況をリアルタイムで把握し、在庫切れや過剰在庫を防ぐことができます。

ロケーション管理を実施する

ロケーション管理とは、商品が保管されている場所（ロケーション）を管理することです。例えば、倉庫なら内部をエリア分けして、それぞれのエリアに置かれた棚の何列目の何段目に商品がある、といったところまでコードを割り振って具体化します。このようにロケーション情報をデータ化することで、どこに何があるかを正確に把握でき、必要な商品をすぐに見つけられるようになります。その結果、商品の入出庫や棚卸しなどにかかる時間や労力を減らし、作業効率を大幅に向上させることが可能です。また、商品のロケーションが明確になることは、過剰在庫や廃棄ロスを防ぐためにも役立ちます。

在庫管理システムを導入する

在庫管理をさらに効率化するためには、在庫管理システムの導入も手です。システム化によって手作業を大幅に削減し、人的ミスや作業負荷を軽減できれば、在庫管理業務を効率化できます。また、在庫管理システムでは在庫状況がリアルタイムで把握できますので、在庫切れや過剰在庫といった問題の防止にも役立ちます。

在庫管理を最適化するためには、「いつ商品が入ってきて」「いつ商品が出ていくか」という在庫の基本的な流れを把握することが重要ですが、その点では販売管理システムも有効です。商品の仕入れと販売状況をデータ上で管理し、在庫管理に役立てられます。このように在庫管理に役立つITツールを活用することで、作業者の労力を軽減しつつ在庫状況をリアルタイムで把握し、より適切な在庫管理を行うことが可能になります。