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基幹業務システム
ドキュメント管理とは? システム導入のメリットと選び方
事業活動における重要課題の一つは生産性の最大化であり、そのためには全社横断的な情報共有基盤の構築が欠かせません。そこで重要な役割を担うのが組織内の文書を体系的に管理する「ドキュメント管理」です。この記事ではドキュメント管理の概要や重要性について詳しく解説します。ドキュメント管理システムを導入するメリットや選び方のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ドキュメント管理(文書管理)とは
ドキュメント管理(文書管理)とは、業務遂行のために作成・共有される文書を管理する一連の仕組みのことです。企業では人事労務関係書類や契約書類、業務マニュアル、資料類など、さまざまな文書を取り扱います。こうした文書の作成・整理・活用・保管・廃棄といったライフサイクルを総合的に管理することがドキュメント管理の主な目的です。電子文書やPDF化された文書などを管理するITシステムそのものを「ドキュメント管理」と呼称するケースもあります。
ドキュメント管理の課題と必要性
現代では、デジタル化の進展と共に市場の変化が加速しており、意思決定の遅れは致命的な機会損失を招きかねません。迅速かつ的確な意思決定を下すためには、文書を体系的に整理し、必要な情報に素早くアクセスできる仕組みが必要です。また、企業のデータベースには顧客情報や従業員の個人情報などの機密データが保管されているため、文書の流出や紛失を防止する管理体制を整備しなくてはなりません。この文書の検索性向上と情報セキュリティの強化がドキュメント管理の本質的な役割です。文書管理における一連のプロセスを支援するITソリューションは「ドキュメント管理システム」「文書管理ソフト」などと呼ばれます。
ドキュメント管理システムを導入するメリット
ドキュメント管理システムを導入することでさまざまなメリットが得られます。ここでは、以下の3点をピックアップして紹介します。
文書検索や共有・承認の負担が減る
契約書類や業務マニュアルなどが部署ごとで分散的に管理されている場合、文書の検索に手間を要し、業務効率の低下や意思決定の遅れを招きかねません。ドキュメント管理システムを導入することで、組織内の文書を統合的に管理でき、情報へのアクセシビリティ向上や部門横断的な情報共有、社内稟議(りんぎ)の効率化が図れます。また、文書を一元的に管理・共有できるため、データの重複や古いファイルを参照するといったトラブルを回避することが可能です。
セキュリティが強化される
従来のアナログ形式でのドキュメント管理では、内部の不正による意図的な情報の流出や文書の紛失に伴う情報漏えいなどのリスクが懸念されます。ドキュメント管理システムにはアクセス権限の設定機能が搭載されており、文書を閲覧・編集する権限を部署や役職に応じて柔軟に設定することが可能です。そして、各種文書をデジタル上のプラットフォームで一元管理することで、紛失や第三者による情報の窃取、内部の人間による不正アクセスといったリスクを最小限に抑えられます。
ペーパーレス化でコスト削減につながる
紙の文書をキャビネットに保管している場合、収納スペース分の賃料をドキュメント管理に費やしていることになります。ドキュメント管理システムの導入によってペーパーレス化を実現できれば、オフィススペースの有効活用や賃料の削減が実現できます。また、用紙やインクカートリッジ、レターファイルなどの印刷にかかる事務消耗費を大幅に削減できる点もペーパーレス化のメリットです。他にも、ドキュメント管理システムの導入によって時間や場所の制約を受けることなく文書にアクセスできるため、リモートワークやハイブリッドワークをはじめとする柔軟な働き方に対応できるという利点も挙げられます。
失敗しないドキュメント管理システムの選び方
ドキュメント管理システムを導入する際は、ITインフラの規模に応じた初期費用と、保守・運用における継続的な管理コストが発生します。また管理を適切に、情報漏えいやコンプライアンスの不履行、データの破損、ファイルの消失といったトラブルも考えられるため、自社の要件に適したソリューションを選定しなくてはなりません。ここからは、ドキュメント管理システムを選ぶ際に押さえておきたいポイントを5点紹介します。
1. 導入目的に合う機能が備わっているか
ドキュメント管理システムを導入する際は、最初に目的を明確化しておくことが重要です。例えば、紙文書の電子化や一元管理を主な目的に設定している場合と、文書の体系的な整理や部署横断的な情報共有を目的とする場合では必要な機能が異なります。前者は一般的なドキュメント管理システムで対応できますが、後者は社内稟議を効率化するワークフロー機能や高度な検索機能が必要です。自社の要件に適したソリューションを選定するためには、現在のドキュメント管理における課題を洗い出すことが重要です。
2. ドキュメントへアクセスしやすいか
ドキュメント管理システムは文書へのアクセシビリティが極めて重要です。多くのドキュメント管理システムには文書の検索機能が搭載されていますが、高度な検索には関数の記述が必要なソリューションも少なくありません。検索機能が複雑なドキュメント管理システムは業務の属人化を招く要因となる恐れがあります。その場合は、キーワードやタグによる検索、フォルダーによる絞り込みなど、詳細な検索を容易に実行できる機能が搭載されているソリューションが適していると考えられます。
3. セキュリティ対策は十分か
ドキュメント管理システムの選定において、特に重要な項目がセキュリティ機能です。セキュリティインシデントはマルウェアや不正アクセスのような外部からの脅威だけでなく、内部の従業員による意図的なデータの流出、あるいはヒューマンエラーによる情報漏えいなどでも起こり得ます。そういった事態を防ぐためには2段階認証やファイル暗号化などで外部の脅威から文書を保護すると共に、アクセス権限設定やログの監視・追跡、印刷やコピー&ペーストの防止機能といった内部の不正を防止するための機能が必要です。
4. クラウド型かオンプレミス型か
ドキュメント管理システムは提供される形態によって大きくクラウド型とオンプレミス型に分けられます。クラウド型は物理的なサーバーやネットワーク機器の実装を必要としないため、導入時の初期費用を大幅に削減できる点がメリットです。
オンプレミス環境で運用するパッケージ型のドキュメント管理システムは、ハードウェアの実装が必須であり、初期費用と管理コストが高額になるデメリットがあります。しかし、カスタマイズの自由度が高く、自社の要件に最適化された設計・開発が可能です。クラウド型とオンプレミス型はそれぞれに一長一短があるため、自社の要件と導入目的に見合った形態を選ぶ必要があります。
5. 基幹系システムとの連携が可能か
ドキュメント管理システムの活用によって業務の効率化や円滑な情報共有を実現するためには、販売管理システムや会計システムといった基幹系システムとの連携性が極めて重要です。例えば、販売管理システムとドキュメント管理システムが連携することで、販売管理システム側からも自社の商品カタログや商品仕様書へのアクセスがスムーズになります。確認にかかる手間が減り、日々の業務効率化と顧客サービスの向上が期待できます。また、契約書やデータで受領した請求書のデータなどの保管・管理にも活用ができるため、電子帳簿保存法への対応も可能です。
マスターデータとドキュメントを一元管理する「SMILE」シリーズ
大塚商会が提供する基幹系システム「SMILE」シリーズは、「eValue ドキュメント管理」との連携によってマスターデータとドキュメントを一元的に管理する仕組みを構築できます。例えば、「SMILE 販売」と「eValue ドキュメント管理」を連携させることで、文書の電子化が実現できると共に、契約書や商品仕様書などの書類に素早くアクセスできます。クラウド型とオンプレミス型を提供しており、自社のITインフラに適した形式を選択できる点もメリットの一つです。
加速度的に変化する現代の市場では、迅速な意思決定と的確な経営判断が必要です。そのためには社内文章を一元的に管理し、必要な情報へ迅速にアクセスできる仕組みが欠かせません。全社横断的な情報共有基盤を構築するためにも、「SMILE」と「eValue ドキュメント管理」の導入をおすすめします。
まとめ
ドキュメント管理は文書のライフサイクルを管理する一連の仕組みです。文書管理の効率化を支援するITシステムをドキュメント管理システムと呼びます。ドキュメント管理システムを導入する主なメリットとして、「文書検索の効率化」「セキュリティの強化」「ペーパーレス化によるコストの削減」が挙げられます。ドキュメント管理システムを導入する際は、機能・文書の検索性・セキュリティ強度・形態・連携性などを考慮することが重要です。