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基幹業務システム
受注残とは?管理すべき理由や効率的な方法、システム導入のメリットを紹介
受注残の管理を疎かにしてしまうと、顧客とのあいだでトラブルに発展したり、企業としての信頼を損ねたりといったリスクが発生します。無用なトラブルやリスクの発生を回避するため、企業には適切な管理が求められます。本記事では、受注残の概要や管理すべき理由、効率的な管理方法などを解説します。併せて、システムを導入するメリットもご紹介します。
受注残とは
受注残とは、商品を受注しているものの、まだ顧客へ納品できていない状態を指します。
たとえば、商品を10個受注し、そのうち5個を納品しているとしましょう。この場合、受注残は5です。このケースでは、先行で納品した5つは売上として計上できますが、未納品の5つに関しては売上に計上できません。
そして受注残管理は、受注したうちのいくつを納品しているのか、在庫状況はどうなのかといったことを管理します。
受注残高とは
受注残と似た言葉に、受注残高があります。これは商品の注文を受けているものの、まだ納品できておらず、売上として計上できない金額のことです。
受注残高は「(売上残高+受注高)-売上高」の計算式で求められます。
受注残を管理すべき理由
受注残を管理すべき理由は、無用なトラブルを避けるためです。たとえば、顧客から5つの注文が入り、3つを先行して納品したとしましょう。この場合、受注残は2であり、漏れなく納品の手配をしなくてはなりません。在庫に余裕があるのなら、そのうち2個を納品手配すれば問題ありませんが、このとき受注残をきちんと管理できていないと、別の注文で在庫を使い果たしてしまう可能性があります。
そうなると、納品すべき2つの商品が足りなくなってしまいます。新たに在庫を仕入れる必要が生じ、顧客への納品も遅れてしまうでしょう。その結果、クレームの発生につながる可能性もあるのです。先に注文したにもかかわらず、別の顧客へ商品を提供したとなれば、企業としての信頼も失墜してしまうかもしれません。
また、適切な受注残管理は正確な経営状況の把握にも寄与します。受注残情報から販売状況の推移などを把握でき、将来的な経営予測や意思決定に役立ちます。
受注残を効率的に管理する方法
受注残を適切に管理しないと、無用なトラブルを招き、企業としての信頼を失うおそれがあります。効率的かつ適切な管理を実施し、トラブルの発生を回避する必要があります。
受注までの工程を正しく管理する
適切に管理するにはまず、受注にいたるまでのプロセスを適切に管理しなくてはなりません。そのためには前提条件として、各担当者の扱う商談情報が分かりやすく管理されている必要があります。
また、受注できる見込みのある案件や、実際に受注した情報などを可視化し、チームで共有できる環境の構築も求められます。正確に情報を把握するにはタイムラグをなくさなくてはならず、リアルタイムな可視化・共有を行える環境が必要です。
上記の前提条件を満たすには、誰もが利用しやすいシステムを導入しなくてはなりません。優れた機能を有するシステムを導入しても、担当者が扱えなければ状況の把握ができないためです。
受注時点で在庫引当を実施する
在庫引当とは、顧客から受注したタイミングで在庫を取り置きしておくことです。受注残管理では、受注した時点で在庫引当を実施することが重要です。
受注時点で在庫引当を実施しないと、別口で入った注文に在庫を使ってしまうおそれがあります。受注した直後にほかの顧客から注文が入り、必要な在庫を保てなくなる可能性があるため、受注時点で確保しておかねばなりません。
そもそも在庫がないときは、次回入荷のタイミングが確定した時点で商品を確保します。入荷してから引当となると、別口の注文で出荷されてしまう可能性もあるかもしれません。そうした事態を防ぐためにも、あらかじめ出荷の優先順位を決めておくなどの方法が必要ですが、システムを活用して優先順位づけを自動化できれば、明確かつ効率的に引当が可能になります。
在庫・発注管理と連携する
在庫管理や発注管理とのシームレスな連携は、適切な受注残管理を実施するのに不可欠です。
十分な数の在庫があっても、注文が入れば随時、在庫数は変わっていくもの。発注管理との連携ができていなければ、必要な数を発注できず、注文をロストしてしまう可能性もあります。
在庫と発注管理、受注残管理を連携し、情報の可視化・共有を行うことが重要です。
受注残の分析を行う
受注残の分析により、課題の抽出や改善のヒントを得られます。受注残情報の推移などを可視化・分析すれば、将来的な経営の予測にもつながります。
ただ、分析よりも注力すべきは、受注残の徹底した管理です。これをおろそかにすると、納品漏れのリスクが高まってしまいます。納品漏れや遅れは組織としての信頼を失いかねない可能性もあり、回避すべき事象です。
「受発注システム」の導入
受注残管理は、紙への手書きやExcelでも行えます。しかし、これらの手法は情報共有が難しく、正確に状況を把握できません。そこでおすすめなのが、受発注システムの導入です。システムの導入により、効率よく受注残の管理を行えます。
受発注システムとは
受発注システムとは、商品の受注や発注に関するあらゆるデータを管理・共有できるシステムです。製品により備わっている機能が異なりますが、一般的には受注管理や出荷管理、在庫管理、請求管理などが実装されています。
受注管理は電話・メール・FAXなど、さまざまなチャネルからの注文を一元管理することです。在庫管理は、入出庫データに基づき正確な在庫を把握できる機能で、過剰在庫や不足などの回避に役立ちます。
出荷管理は、システム上で出荷の手配を行える機能です。適切に出荷の指示を出せるほか、納品書や受領書の作成を行えるものもあります。請求管理は、請求状況の把握や請求書の発行を行える機能です。
受発注システムの導入メリット
受発注システムを導入することで、受発注に関するさまざまな情報を部門間で共有でき、スムーズな連携が実現するため、業務効率化につながります。また、複数チャネルからの注文をひとつの窓口に集約できるため、受注管理の手間を大幅に抑えられるでしょう。
さらに、リアルタイムに状況を把握できるのもメリットです。入出庫データから自動的に在庫の数が更新されるため、常に最新の情報を把握できます。受発注の状況もリアルタイムに反映され、組織内で共有可能です。
また、システムを導入すれば受注数を正確に記録でき、適切な受注残管理が実現します。受注残管理が効率化するため、担当者の負担軽減が期待できます。
まとめ
受注残管理をきちんと行わなければ、クレームやトラブルの発生原因となりかねないため注意が必要です。受注にいたるまでの工程を正しく管理する、受注時点で在庫引当を実施するなど、適切な受注残管理を行いましょう。
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